ハワイのホテルでの長期ストライキ(シェラトン・ワイキキやロイヤルハワイアンなど)
※2018年12月23日、最新情報を更新しました。ストライキは終了ですが、その後まだ動きがあります。
ハワイのマリオットホテルで働く従業員は、オーナーである京屋ホテル&リゾートと運営をしているマリオットに対して数ヶ月に及ぶ賃金交渉を行っていましたが、現地時間10月8日(月)からストライキに入り、50日以上の長い抗議の末、ついに京屋側と合意に達しました。新しい契約の内容には「4年間で約$6の賃金アップと医療保険や年金保険などの福利厚生の充実」が含まれているようです。
マリオットの従業員は賃金アップを求めてストライキ
このストライキはアメリカ本土のボストン、サンフランシスコ、サンノゼ、オークランド、デトロイト、サンディエゴで前の週より始まり、オアフ島のシェラトン・ワイキキ・ホテル、ロイヤルハワイアンホテル、モアナ サーフライダー ウェスティン リゾート&スパ、シェラトン・プリンセス・カイウラニ、マウイ島のシェラトン・マウイ・リゾート&スパの約2,700人の従業員が参加しているとのこと。
「One Job Should Be Enough(ひとつの仕事の収入でだけで生活をする)」をテーマに賃金アップとよりよい福利厚生、安全な職場を求めています。ソーシャルメディアでは「#marriottstrike」「#1job」というハッシュタグをつけてストライクについての投稿を目にします。
ハワイは物価が高いのに賃金が安く、仕事を掛け持ちして生活を支えている人が少なくありません。ですので、マリオットの仕事だけで生きていける給料にしてほしいと交渉しているのです。労働組合「UNITE HERE Local 5」は、初年度時給$3アップを要求していますが、京屋側は70セントの増額を提示。交渉は難航しています。
また、マリオットには「グリーンチョイス」と呼ばれるプログラムがあります。これは部屋の掃除回数を減らして環境を守ろうという内容ですが、ハウスキーパーは、ホテル側のコスト削減にはなっても、チェックアウト時にまとめて掃除するのはとても負担が大きいと訴えています。
該当ホテルではチェックインができなかったり、レストランが営業していなかったりするようです。日本の観光客に人気のホテルですし、ウェディングでハワイ入りしている方もいますので本当に残念です。
ストライキの今までの流れ
▼2018年9月10日(月) 労働組合「UNITE HERE Local 5」に加入しているオアフ島とマウイ島のマリオットで働く95%の従業員が賛成票を投じ、ストライキが承認。
UNITE HERE Local 5事務局長のエリック・ギル(Eric Gill)は「マリオットと折り合いをつけたいと思うが、うまくいかない場合はストライキ決行となるだろう。ひとつの仕事で充分な収入を得てハワイに住むことを求めているが、マリオットの答えは「他に仕事を探せ」というものだった」と述べています。
▼2018年10月8日(月) オアフ島とマウイ島の計5つのホテルでストライキ開始。
▼2018年10月10日(水) ストライキ3日目を迎えるも、UNITE HERE Local 5とホテルの間で新しい協議が予定されていないため、このまま続行の見込み。
オーストラリアからの観光客は「ワイキキでの抗議活動で朝6時には目が覚め、夜中まで騒音が続く。ハワイは大好きだけどとても残念」と話しています。
▼2018年10月11日(木) ストライキを続ける従業員はハワイ大学(UH)に向かい、生徒を集めなぜストライキをするかを発表。
▼2018年10月12日(金) ワイキキのカラカウア通りとビーチを行進しながら、マリオットと京屋ホテル&リゾートに対し「One Job Should Be Enough」を訴え続ける。
▼2018年10月14日(日) ハワイ州知事首席補佐官マイク・マッカートニーがピケライン(ストの内容を訴える人たちの列)を訪問し、「One Job Should Be Enough」キャンペーンを支持。 ハワイ大学マウイ校の生徒がシェラトン・マウイ・リゾート&スパのストライキに参加。
▼2018年10月15日(月) ラハイナにあるシェラトン・マウイ・リゾート&スパで、契約交渉について書かれたチラシをロビーで宿泊者に配ろうとしたストライキ中の従業員3人が、マウイ警察に手錠をかけられました。ホテル側は、ロビーは私有地なので不法侵入と主張。3人は1年間、シェラトン・マウイへの出入りを禁止されました。
▼2018年10月16日(火) サモア出身のアメリカ合衆国下院議員、トゥルシー・ギャバードがハワイのストライキを支持。 ワシントン州ウェスティン・シアトルのLocal 8のメンバーは、マリオットとの交渉の末に暫定合意。
▼2018年10月18日(木) ハワイのストライキは続行、ピケライン(ストの内容を訴える人たちの列)は地元の応援を受けて拡大中。
▼2018年10月19日(金) マリオットと京屋ホテル&リゾートは、10月26日と27日に労働組合と交渉を再開予定。 この日まではストライキは続く見込みとなっています。
▼2018年10月22日(月) ニール・アバクロンビー・ハワイ前州知事がシェラトン・ワイキキ・ホテルのピケラインに参加。 これまで週30時間のストライキ活動で$300の報酬が受けられましたが、10月22日からは$400に引き上げられました。
▼2018年10月25日(木) アメリカ8都市でのストライキは続いています。 10月26日と27日の交渉後、10月29日と30日にアメリカ全体での労使協議が予定されています。
▼2018年10月27日(土) 京屋とマリオットは、労働組合「UNITE HERE Local 5」とカリヒ地区のドールキャナリー(コストコの近く)で夜遅くまで会談。マリオットの従業員は「One Job Should Be Enough」と書かれたTシャツを着用して会場入りしました。Local 5は、「交渉は一歩前進したものの、距離感はまだ残るため、通知するまではストライキを続ける」と発表。
▼2018年10月30日(火) 現地時間10月30日でストライキは23日間となり、1990年に11のホテルで起きた22日に及ぶストライキを超えました。 Hawaii News Nowによると、京屋との間でハウスキーピングについての労使協議が進められているようです。
▼2018年10月31日(水) ストライキは24日目を迎え、大雨の中ワイキキでの活動は続きました。 今週は全てのスト参加者にフードランドの$100ギフト券が支給されるそうです。
▼2018年11月3日(土) オークランドでは労使交渉の結果、合意に至りストライキは終了となりました。 しかしハワイではまだ交渉を続けていて、ストライキも行われています。
▼2018年11月4日(日) ストライキは28日目となりました。 次回の交渉は11月8日(木)、9日(金)に予定されています。
▼2018年11月6日(火) ストライキはUNITE HERE Local 5にとって最長の30日目に突入。 賃金アップ、就労の4年契約、ハウスキーピングの業務量について引き続き交渉中です。
▼2018年11月12日(月) ハワイストライキは最長の36日目に突入。 デトロイト、サンノゼ、サンディエゴ、オークランドではマリオットと従業員の間で交渉が合意に達しています。 サンフランシスコとボストンでは話し合いが継続中で、ハワイでは現地時間11月15日(木)、16日(金)に再交渉となります。
▼2018年11月16日(金) ハワイストライキは40日目となりました。 毎年、オアフ島シェラトン系列4つのホテルのレストランでは、サンクスギビングデー(感謝祭)にビュッフェや特別メニューの提供をしていましたが、今年は中止となるレストランもあるようです。もし予約されている方は、ホテルや旅行会社等にお問い合わせください。
▼2018年11月22日(木) ハワイストライキは46日目となりました。 今日はマリオット従業員のストライカーにサンクスギビングの食事が振るまわれています。 シェラトン・ワイキキのコック、ジェニー・ジョンソンさんは「ホテル業界で働けば祝日に休みはありません。今日はオハナ(家族)や職場の仲間とこうして過ごせて良かった」とコメント。
京屋ホテル&リゾートは、ボストン、サンディエゴ、サンノゼなどの都市で合意となった賃金より高い金額やハウスキーパーの作業軽減を提示したにも関わらず、Local 5はその内容を拒否したことを明らかにしました。次回の交渉は11月26日(月)となっています。
▼現地時間2018年12月1日(土)、ハワイの労働組合Local 5のツイッターより ハウスキーピングの回数を減らすマリオットのエコプログラム「グリーンチョイス」を選択すると、無料でスターバックスのドリンクが楽しめる特典があるそうです。しかし結果的にハウスキーパーの負担が増えるため、そのことを分かってもらうよう、スターバックス前でビラ配りをしている人たちがいます。合意後も活動は続くようです。
▼2018年12月3日(月) サンフランシスコでもストライキが終結。時給$4アップと、セクハラ対策が新しい契約に盛り込まれたようです。
▼2018年12月21日(金) ワイキキビーチ・マリオット・リゾート&スパの従業員は、賃金アップやハウスキーピングの業務軽減、年金のサポートなどを含む新しい雇用契約を結びます。 ワイキキビーチ・マリオット・リゾート&スパもストライキの参加資格はありましたが実施はせず、サポートをしていました。今回の契約は、ストライキでシェラトンなどが勝ち取った内容がベースになっています。
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UNITE HERE Local 5について: Local 5は、ホスピタリティや医療、フードサービス業界で働くハワイの約11,000人の労働者を代表する組合で、アメリカとカナダで25万人以上の労働者を代表する国際労働組合「UNITE HERE」に加盟しています。
▼ストライキについて参考にした地元メディア KITV、KHON、Pacific Business News、UNITE HERE Local 5のウェブサイト